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公募研究(平成23-24年度)の詳細

多くの生物種にはオスとメスが存在し、両者の間には明瞭で多彩な性差が認められます。動物個体の性差は、性決定遺伝子によって未分化生殖腺が精巣または卵巣へと、二者択一の運命決定(性決定)がなされた直後から構築され始め、胎生期から個体の発達過程で次第に成熟してゆきます。そして、この過程は、精巣と卵巣に性ホルモン産生細胞が分化するまでの第一のステップと、性ホルモンを中心とする制御によって個体全域で進む第二のステップからなると考えられます。これら二つのステップの特徴は、共に時間・空間的かつ階層的な遺伝子発現のもとに進行するものの、前者は「遺伝的制御」によって、そして後者は性ホルモンを中心とする「内分泌制御」によって支配されている点であり、この二つの制御系が性差構築の基本的メカニズムと考えられます。また、性差構築の第二のステップでは、「遺伝的制御」に「内分泌制御」が重層し、そこに巧妙で精緻な相互作用を構築するとの理解が重要であり、このような視点に立って初めて、性転換などの現象を説明し得ると考えます。以上の認識のもとに、本領域研究では上記二つの制御系と、それらの相互作用に焦点を当てながら、「性差構築の分子基盤」の解明に向けた研究を推進します。

「性差」は性本来の特徴であり、その構築をもって二つの性が成熟します。そして、ここで成立した二つの性によって有性生殖が可能となり、その結果、地球上に繁栄する多様な生物の進化がもたらされたのでした。したがって、「性差構築の分子基盤」を明らかにすることは、性の生物学的意義の理解、ひいては生物多様性の根源的な理解へとつながるものです。「性差」を基軸とする連携研究は、世界的にも未だ形成されておらず、いち早く新たな視点に立った性差研究グループを構築することこそが、我が国の学術研究の一層の強化のためには必要不可欠です。

このため、研究項目A01「遺伝的制御による性差構築」と研究項目A02「内分泌制御による性差構築」の計画研究により重点的に研究を推進するとともに、性差を基軸とする異分野横断型の連携研究の構築を見据え、2年間の研究を公募します。1年間の研究は応募の対象としません。なお、研究分担者を置くことはできません。公募研究の採択目安件数は、研究計画の内容により単年度当たり(1年間)の応募額800万円を上限とする研究を5件程度、500万円を上限とする研究を5件程度、計10件程度予定しています。

本領域は、生殖関連組織を主たる対象としていますが、上に述べた考え方のもとに性差構築の分子基盤の解明を目指す内容であり、優れた実験系が確立されているものであれば、生殖関連以外の組織を用いる研究提案も歓迎します。

(研究項目)
A01 遺伝的制御による性差構築
A02 内分泌制御による性差構築
(募集期間)
平成22年9月1日(水) 〜 11月10日(水)
*各基盤研究機関への提出締切は異なるのでご注意下さい。